金融市場と資本市場の統合
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概要
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この小論では金融市場と資本市場のリンクがどのようにして形成されたのかをワルラス理論の形成過程を追いながら検討する。ワルラスの貨幣理論は短期間のうちに飛躍的な発展をとげ, 貨幣供給と貨幣需要の「20世紀モデル」として完成の域に達している。産業的流通過程にある貨幣は資本家によって貯蓄貨幣に変換されるが, 貯蓄貨幣は資本家から企業家に貸し付けられる。つまり, 金融的流通から産業的流通に『再変換』される。これは貨幣が産業的流通の出口としての貯蓄から, 金融的流通の出口としての資本形成となる循環である。しかも, 前者は将来消費から得られる限界効用が現在消費から得られる限界効用に等しくなるときに最大満足の定理が成り立ち, 貯蓄水準が決まる。一方, 後者は最適条件から決定された資本財の供給 (貯蓄) と資本財の需要 (投資) から決定される。このような視点に立って, 小論では経済主体の最大満足の定理から貯蓄形成の金融市場と資本形成の資本市場の統合が導出される過程を明らかにしている。
- 2001-10-31