Streptozotocin誘発糖尿病ラットに対する血糖コントロールが実験的歯周炎に及ぼす影響 : 2.無菌飼育ラットにおけるインスリンの効果
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概要
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本研究の目的は,口腔内細菌の影響がない状況下において機械的刺激で糖尿病ラットに誘発される実験的歯周炎に,血糖コントロールが及ぼす影響を検索することである。無菌飼育ラットの辺縁歯肉にゴム輪で刺激を加えた後,非糖尿病(N-DM)群,糖尿病(DM)群および糖尿病-インスリン(DM-I)群に分けた。14および28日で屠殺し,血糖値の測定(随時血糖値),病理組織学的および組織計量学的検索を行った。その結果,1)無菌飼育のストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病ラットにインスリン投与を行うことにより糖尿病症状が改善した。2)平均血糖値はN-DM群で131±18mg/dl,DM群で506±89mg/dl,DM-I群で109±40mg/dlであった。3)病理組織学的所見からDM群ではN-DM群に比較して歯周組織の炎症性変化が高度であったが,DM-I群ではN-DM群と同程度であった。4)歯槽骨の面積計測の結果,14日の歯槽骨吸収量はDM群>DM-I群≧N-DM群であり,分岐部においてはDM群と他の2群との間に統計学的有意差があった。以上より,無菌飼育糖尿病ラットにおいて機械的刺激による歯周組織の炎症性変化および損傷の程度がインスリン投与により軽減することが示された。口腔内細菌の影響を受けなくても,糖尿病ラットにおける歯周炎の進展阻止には血糖コントロールが重要な役割を担っていると考えられる。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1996-12-28
著者
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