Fibronectinによる同種菌体凝集性および細菌のHydroxyapatiteへの付着性に関する研究
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概要
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接着性タンパクの1つであるfibronectin (FN)による口腔細菌凝集性,口腔細菌とhydroxyapatite (HAp)との付着性を知るために,次の2種類の実験を行った。まず,ヒト血漿より部分精製したFNの3×2^6〜3×2^<-1>μg/ml希釈溶液中に,口腔細菌12菌種の細菌の懸濁,細菌とHApの懸濁を行い,それぞれ比濁法で検索した。さらに,その界面性状をzeta電位測定によって解析した。その結果,比濁法ではStreptococcus mutansを始めとして凝集性が促進される菌種がある反面,逆にFusobacterium nucleatumのように凝集阻害を起こすものもあり,FNの存在下での細菌とHApへの付着性でも同様の傾向を示した。一方,細菌およびHApのzeta電位測定結果では,全試料とも負の電位を示し,FN濃度上昇に伴ってそれぞれの値は±0に向かって減少し,Langmuir型等温式にほぼ適合した。この結果は,すべての菌種およびHApに対して,FNは凝集性や付着性を促進させることを示し,比濁法の結果とは矛盾するものであったが,ここには,みかけ上の相違,特異的あるいは非特異的結合,結合の競合など,種々の要因が考えられ,ひいては,プラーク形成における,FNの如き唾液タンパクと細菌との結合,細菌とHApとの結合に複雑な要因が介在することが示唆された。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1990-06-28
著者
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