活性酸素産生系コア蛋白質gp91phoxの高次構造の解析
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概要
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食細胞NADPHオキシターゼの主成分gp91phox[NOX2]は,食作用刺激があると細胞内顆粒膜から迅速に細胞膜に移動する。そこで他の細胞内構成成分と複合体を作ると,活性型となる。活性型は細胞内NADPHから細胞外(食胞内)酸素分子へ電子を1電子わたしてスーパーオキサイドをつくる。したがってgp91phoxは殺菌に直接かかわる主要タンパク質であり,これがX染色体にコードされていることから,活性酸素を産生できないために重篤な感染症を繰り返す慢性肉芽腫症(chronic garanulomatous disease, CGD)の3/4はこの遺伝子異常による。このようにgp91phoxは非常に重要なタンパク質であるが,膜結合型で大きな糖鎖(約30KDa)を有することから,その全高次構造を実験的に解析して行くことは極めて困難で,実際的ではない。gp91phoxの細胞内領域はNADPHおよびFADに結合するドメインを持っていると考えられ,この部分は機能的に極めて重要である。この部分に点変異にあるCGD症例で,食細胞はタンパク質を発現しているが電子伝達能の無いものがみられることからも,その構造的機能的重要性がうかがえる。しかしながら,その部分のリコンビナントペプチドは可溶型とならず,その実験的解析も困難との情報を得ており,事実この領域の正確な構造は報告されていない。我々は,gp91phoxの細胞内領域の構造と機能の相関を知るために,コンピュータ上でそのモデルを作り[in silico],機能と構造の相関を推定する事とした。さらに将来そのリコンビナントペプチドをデザインしX線解析を行うための基礎的なデータ収集とトレーニングを目指した。
- 長崎大学の論文
著者
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中村 三千男
長崎大学熱帯医学研究所
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勝部 幸輝
ファルマ・アクセス代表取締役社長
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中村 三千男
熱帯医学研究所
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濱田 賢作
ファルマ・アクセス取締役
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前川 知之
長崎大学熱帯医学研究所非常勤講師
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高橋 慧
長崎大学医学部学生
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濱田 賢作
ファルマ・アクセス(株)
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