不登校児との共同体験による不登校児イメージの変化
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概要
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不登校児童・生徒数は増加の一途をたどっており,彼等に対する関わりも,従来からの学級担任による助言・指導,相談機関等での相談の他に,スクールカウンセラーによる対応や適応指導教室の設置,野外体験活動の実施など多様な形態となってきている。しかし,現職教員が不登校児童・生徒と直接関わる機会は,まだそれほど多くない。自分の学級の生徒が不登校になった場合や,校務分掌で生徒指導や教育相談の担当になった場合に限られている。そのような場合でも,教師は学校復帰を前提とした関わりをしがちであり,また,子どものほうも学校復帰を強いられるのではないかという不安や,登校していない罪悪感などから教師に拒否的な反応をしてしまうことも多いようである。筆者の経験から,相談室では元気だが,担任の家庭訪問の際には,担任と顔を合わせなかったり,うつむいて一言もしゃべらないといった児童・生徒も多く,学級担任には"元気がない","暗い","頑な"といった印象を与えている。白井(1992)は,青年,大人,教師を対象に不登校イメージについて調査を行い共感的態度と評価的態度の2因子を抽出し,全般的に評価的態度のほうが強いことを示している。この評価的態度項目には,「自己中心的」,「非活動的」,「悪い」,「劣った」等の内容が含まれ,不登校児童・生徒に対する一般的なイメージは,おおむねネガティブな傾向であると言えよう。このようなイメージは,上述のような「教師-生徒」といった学校での関係を基盤にしてできたイメージであるために,不登校児の「学校に拒否的である」という一面だけをとらえているのではないだろうか。このような一面的なとらえ方は,不登校児の実態とかけ離れたものになり,かっ固定化してしまう危険性を含んでいる。千葉大学教育学部附属教育実践総合センターでは,千葉県教育委員会の主催する「ハートtoハート・リフレッシュセミナー」(不登校児童・生徒のためのキャンプ)にボランティアの学生スタッフを派遣している。そこに参加する子どもたちは多種多様で,一般的にとらえられているような非活動的,自己中心的な子どもたちばかりではなく,明るく,活動的で,他者に配慮できる子どもも少なくない。キャンプのように学校とは関係のない場所で,教師という立場に縛られない関わりであれば,一般論として作られたイメージや教師-生徒関係において作られたイメージと異なる,個々の不登校児の実態や本質を知ることが可能になるのではないかと考える。本論文では,実際に不登校の児童・生徒と関わる経験が,不登校児のイメージ,原因の認識にどのような影響を及ぼすかを検討し,不登校児童・生徒の理解についての方策を提案する。
- 2000-02-29
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