異所性移植心による循環補助効果の検討
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概要
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Schaffにより報告された胸腔内異所性心移植モデル,及びその変法について両者の左心補助効果を血行動態の面から検討した。Schaffのモデルは, donor心の心房中隔及び三尖弁を切除することにより,移植に要する吻合をdonor心の大動脈と上大静脈の2カ所のみとした異所性心移植法である。本法を用いて7頸に実験を行ったところ,心蘇生率は7/7(100%)と極めて高率の手術成功率であった。さらに,循環補助に関しでもrecipientの上行大動脈を遮断した状態で,recipient 心の心拍出量をもとの50%以上に維持することが出来た。しかし,Schaff法では,三尖弁切除によりdonor心の右心房圧の心室化が認められ,これが循環補助効果に悪影響を及ぼしている可能性が考えられたので,三尖弁切除の代わりに,三尖弁口を閉鎖する術式を考案し. Schaff法と同じ検討を行った。その結果,心蘇生率及び循環補助効果はSchaff法とほとんど変わらず,両者に差は認められなかった。以上の実験から以下の結論が得られた。1. Schaffの異所性心移植モデルは,体外循環を用いずに安全に行うことが出来,移植に要する吻合も2カ所と簡便で,心蘇生率もきわめて高くすぐれた術式である。2. Schaffのモデルは,臨床的には,左心不全時の左心パイバスモデルとして,実験的には,保存心の機能評価法として応用価値がある。
- 神戸大学の論文