糖尿病の成因に関する遺伝子解析 : インスリン遺伝子HLA遺伝子の構造多様性の意義
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概要
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日本人糖尿病(DM)患者のインスリン遺伝子の5'側塩基反復配列構造の多様性,HLA遺伝子クラス2の多様性につき検討を加えた。インスリン遺伝子5'側塩基反復配列構造が長いもの(Bellらの報告でClass2,3 に該当するもの)の頻度は,インスリン非依存性DM(NIDDM),インスリン依害性DM(IDDM),非DMいずれにおいてもコーカシアン,アメリカ黒人,ピマインディアンより有意に低く,NIDDMの遺伝マーカーにはなり得なかった。しかしClass3/3は家系検索を含めNIDDMにのみに認められ,DMとの関連を否定できないと考えられた。Class2,3とClass1(同構造が短かいもの)との間で,血中コレステロール,中性脂肪,HbA1値の有意な差は認められなかったが,同部位長の頻度には民族差があることより,DMの病像における民族差との対比が重要と考えられた。75g経口糖負荷試験においては,Class2,3とClass1との間でインスリン分泌に差を認めなかったが,同部位は反復配列構造を示し,プロモーターに隣接することよりin vitro系での転写レベルの検討が重要であると思われた。インスリン遺伝子上流のTaqI,RsaI塩基点多様性,c-Ha-ras遺伝子の3'側の多様性を認めたことより,インスリン遺伝子の5'側の多様部位とあわせて,これらは11番染色体短腕上のDNAマーカーとして日本人においても有用であることが,確認された。IDDMの発症には,免疫学機序が想定され,HLAの検索は重要である。HLA遺伝子クラス2の遺伝子解析はHLA-DRの血清学的タイプを細分類でき,IDDMの遺伝マーカーの1つになると考えられた。
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