浄土庭園に関する概念論とその定義
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概要
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本論文の目的は,浄土庭園の概念とその内容を定義することにある.浄土庭園とは,独立した庭園様式であり,浄土建築と南庭部と池庭部とが有機的に結合している.池庭の最小条件とは舟遊びが可能な大園池を設けていることである.さらに,浄土庭園とは末法思想の強い影響のもとに建設されたものである.本論文で分析されている数々の概念の中では,やはり「jodoteien」「浄土庭園」という簡潔な表現が最適と思われる.浄土庭園は浄土建築と園地との密接な関わりがあるため,主として建築物との対比として用いられる分類概念である.寝殿造庭園と浄土庭園を比較すると,浄土庭園の中心にあるのは浄土建築であり,寝殿造庭園の中心にあるのは王朝貴族の和様式邸宅である.そのため,浄土庭園は寝殿造系庭園とは別の,独立した庭園様式なのである.浄土庭園は極楽浄土を具体化しているものであり,ゆえに,浄土庭園は日本庭園史上において,最初に仏教思想の現実化を試みたといえる.
- 1994-03-25
著者
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