トリブチル錫がラットの中枢ミエリン形成におよぼす影響について
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概要
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トリブチル錫(TBT)は,フジツボやカキ殻付着防止のための船底塗料剤や漁網防汚剤として世界中で広く利用されてきた。1980年頃から,バイ貝などの巻貝の雌が雄化する事による産卵量の激減が問題となった。その原因物質がTBTと証明され,先進国でTBTの使用が規制されるようになって,日本も1997年までに製造を打ち切った。しかし,近海の汚泥に蓄積されている量は膨大であり,魚介類を常食する日本人にとって,生物濃縮された魚介類の毒性の与える影響は依然として重大である。TBTは,女性ホルモン合成系中のアロマターゼを阻害して体内のアンドロゲン濃度を上昇させる事から,内分泌撹乱物質に指定されている。本研究では,胎仔期または新生仔期にTBTに曝されたラットの中枢ミエリンの標識酵素活性とタンパク質組成を検討した。その結果,新生仔期にTBTに曝されることにより,中枢ミエリンの形成が大きな影響を受けることが明らかになった。
- 2003-08-31
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