下咽頭癌におけるeIF4E, p53, Ki-67, cyclin A, cyclin B1の発現と臨床的意義

概要

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下咽頭扁平上皮癌68症例における,細胞蛋白質合成開始因子eIF4E,癌抑制遺伝子の一つであるp53,細胞増殖能を反映するKi-67,細胞周期制御因子であるcyclin Aとcyclin B1の発現様式を免疫染色により検討した。また,これらの因子の発現と腫瘍の組織分化度及び臨床予後との関連性も検討した。p53, Ki-67, cyclin A及びcyclin B1何れの発現も腫瘍の組織分化度,臨床予後との間に相関を認めなかった。一方,68症例中32例にeIF4Eの過剰発現を認め, eIF4E陽性群はeIF4E陰性群に比べ術後局所再発率(p<0.05),及び術後遠隔転移率(p<0.001)の何れも有意に高かった。さらに, eIF4E陽性群の局所再発期間,及び遠隔転移期間も有意に短く,早期に局所再発(p<0.05),及び遠隔転移(p<0.001)が起こる傾向が認められた。eIF4E陽性群と陰性群の5年生存率は,それぞれ25.2%と54.0%であり,陽性群の予後は有意に悪いことが認められた。eIF4Eは下咽頭癌において,予後因子の指標の一つになり得ると考えられた。
北里大学の論文
2001-12-31