疾病入院統計からみた長期入院必要性の検討
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概要
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平成12年4月から平成13年10月の間に,当社に提出された入院証明書48万7,482件の中で,頸椎疾患,腰椎疾患,高血圧,胃潰瘍を対象としてモラルリスク性の高い入院症例(以下,モラル入院と略す)を抽出し,そのモラル入院占率を検討した。頸椎疾患では,60日でモラル入院占率の最初のピークがあり,90日から110日にかけて徐々に減少し,120日以上で再び増加する傾向を示した。腰椎疾患では,100日でモラル入院占率が最も高くなり,一度110日で低下するが,120日以上で再び増加する傾向を示した。従って,頸椎疾患と腰椎疾患では二峰性となる傾向があり,入院日数単独ではモラル入院の指標となりえなかった。高血圧では,入院日数の増加とともにモラル入院占率の増加を認めた。従って,高血圧では入院日数と共にモラル入院が増加しており,入院日数がひとつの指標と考えられた。胃潰瘍では,m+3SD以上の長期入院についてモラルリスク占率を検討した。その結果,モラルリスク占率は57.8%と高率を示したが,今回は検討した症例数が少なく,指標を決定するには至らなかった。モラル入院には様々な判断要因が関連しており,事例を個別に検討する方法が最善であるが,全例を検討することは不可能である。従って,各疾患別の傾向,ひいてはモラルリスクの指標を定めることができれば,逆選択防止の一助となるものと考え,今後さらに検討していきたいと考える。
- 日本保険医学会の論文
- 2002-12-17
著者
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