膝蓋・大腿関節障害の生体力学的解析 : 膝蓋骨側方動揺性の定量的研究
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概要
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膝蓋骨不安定症に対する膝蓋・大腿関節障害の病態解析を行う目的で膝蓋骨の側方動揺性を直接計測できる装置(PL tester)を開発し,膝蓋骨に側方力20N負荷した際の動揺性(緩み)と変位量を測定した。本研究では,健常膝(C群)と膝蓋骨不安定症膝(U群)を対象とし,膝屈曲に伴う膝蓋骨の制動効果を大腿四頭筋弛緩状態,収縮状態の各々の条件において測定し検討を行った。筋弛緩状態での測定結果により,C群では膝伸展位から屈曲45度までが軟部組織を主体に,45度を超える屈曲位では骨関節の形状適合性が主体となって膝蓋骨を制動していることを定量的に証明した。これらの制動関係の破綻をきたしたものがU群であった。群間比較では,屈曲60度で統計学的有意差が最も大きくなり,軽度屈曲位と60度における測定値の変動パターンを比較することが診断に有用と考えられた。また,U群女性(UF群)の筋収縮による制動効果は,C群女性(CF群)ほどには至っていないことが確認された。さらに,筋力評価との比較によりUF群では筋力に関与する膝伸展機構の異常が生じており,ハムストリングと四頭筋筋力比の不均衡が示された。UF群は単なる四頭筋強化訓練だけでは膝蓋骨の不安定性を改善させることが極めて困難であると考察された。
- 北里大学の論文
- 1998-04-30
著者
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