加圧により正常関節軟骨から滲出する液量の測定とその化学的分析
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概要
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関節軟骨に圧を加えれば,変形と共に液体が滲出し,圧を除けば変形は戻り液体が吸収される現象は認められているが,この液体は単に栄養の面のみにとどまらず,関節の重要な機能である潤滑にも関与している可能性も示唆される。しかし,どの程度の圧でどれだけの液体が滲出するか,またその成分はどのようなものであるかについては全く知られていない。我々は,イヌの膝関節軟骨を用いて圧により滲出する液量を,毛細管ピペットで測定し,その液から関節軟骨の栄養に関与する糖類の濃度測定及び,軟骨に出入りする小イオン,特にNa^+,Cl^-の測定を行い,以下の結果を得た。(1)圧の増加と共に液量の増大がみられ,軟骨の厚い部位で,滲出液量の多い傾向にあった。また同一軟骨厚でも,脛骨側関節軟骨は大腿骨関節軟骨側の約2〜4倍の液が得られた。走査電顕による軟骨表面の観察では,脛骨側で大腿骨側よりコラーゲン線維束が太く,その網状構造が粗であった。このことが脛骨側で採取される液量が多い原因であると推測された。(2)滲み出てきた液の化学的分析では,糖濃度は,血清,関節液のそれの約1/6に過ぎなかった。その理由は不詳であるが,他組織と比較して細胞密度が著しく少ない軟骨では,この糖濃度で十分であるのかも知れない。Na^+濃度は血清,関節液に比較して若干高い値が得られ,逆にCl^-濃度は低い値であった。軟骨基質に含まれる小イオン分子は,軟骨内基質成分おそらくプロテオグリカンの存在,つまり陰性固定電気量の影響が大きく関与することが推察された。また,ガラクトース,N-アセチルグルコサミンは,いずれも滲み出てきた液の中には検出されなかった。
- 1991-06-30
著者
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