静脈瘤血液ガス分析による食道胃静脈瘤の成因に関する検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
食道胃静脈瘤からの吐血が静脈にしては"動脈の如く赤い"ことを緒に,肝硬変40例,IPH4例の総計46例に対し直接穿刺による静脈瘤の血液ガス分析を行い,その酸素分圧から静脈瘤の成因につき検討した。静脈瘤のPO_2(以下PO_2)は75.1±25.5mmHg,同時採血した動脈との比較ではPO_2/PaO_2×100=87.8と非常に高値を示し,静脈瘤には多量の動脈血の直接的流入があるものと推定された。また,1)上中部食道での穿刺例,2)静脈瘤と交通のある食道壁外静脈存在例,3)遠肝性血行を示す症例で,有意に高値を示した。従って食道静脈瘤における高酸素分圧の機序として,胸部食道における静脈瘤と胸腔及び縦隔内の小血管即ち肺静脈や気管支静脈との直接の交通や造影されない毛細管レベルでの交通等,動脈成分を高濃度に含有する血管群とのシャントが想定された。以上,食道静脈瘤の成因には動脈血行の関与があるものと考えられた。
- 1989-02-28
著者
関連論文
- 静脈瘤血液ガス分析による食道胃静脈瘤の成因に関する検討
- 内科的治療により食道静脈瘤並びにHBVマーカーが消失したキャリア発症肝硬変症の1例
- 妊娠性肝内胆汁うっ滞症の1例
- 直接治療効果とその判定法
- 肝細胞癌に対するラジオ波熱凝固療法(「肝細胞治療の現状と今後の展望」)
- ルポイド肝炎をoverlapしたAMA陰性原発性胆汁性肝硬変
- Role of laparoscopic vascular changes in fatty liver. Comparative study with intrahepatic microvasculature using experimental model. : Comparative study with intrahepatic microvasculature using experimental model
- Usefulness of left gastric arterialgraphy in hemodynamics of esophago-gastric varices in comparison with endoscopic varicealography during injection sclerotherapy.
- 非硬変性門脈圧亢進症における肝内腫瘤性病変の検討