特殊限外濾過法を用いた細胞外液性脱水時における体液平衡 : 臨床的,実験的ならびにコンピュータシミュレーションによる研究
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概要
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細胞外液性脱水症の診断法を改善することを目的として,慢性腎不全患者の ECUM (extracorporeal ultrafiltration method)施行例の観察および腎摘出雑犬を用いた実験的 ECUM を行なった。データの解析に適用した細胞外液相の動的モデルには,次のような因子を考慮した。循環血漿相と組織間液相との間に成立する静水圧,膠質浸透圧,およびリンパ流による平衡関係,循環血液量の変化に反応する血液貯蔵相からの血液動員。動物実験結果の解析では,この血液貯蔵相は主として脾臓でその血液動員は著しいと推定されたが,臨床例における関与は少なかった。動物実験における動的応答からえられた毛細管濾過係数(CFC)は,輸液実験例でえられた値の1/5〜1/10で,毛細管濾過面積の低下が示唆された。循環血漿量減少率と組織間液量減少率との比は,臨床例では1:2.1,実験例では1:1.7であった。へマトクリット,血漿蛋白濃度から細胞外液喪失量を計算する場合,本研究のモデルを用いれば,種々の病態において良好な推定値がえられる。
- 1983-12-31