エルゴメーター運動負荷中の左心収縮時相 : 健常者と虚血性心疾患患者の対比
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概要
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若年健常者,高年健常者,および虚血性心疾患患者に仰臥位エルゴメーターを用いて0.5および1.0watt/kgの2段階連続運動負荷を行ない,負荷前・中・後の心機図より左心収縮時相を計測し,加令・病態における心の予備力を検討した。運動負荷中に収縮期圧,拡張期圧,心拍数は増加した。QI, ICT, PEP, ETは減少し,ET/PEP, Pd/ICTは増加した。ETと心拍数は直線関係を示すが,回帰直線の勾配は安静時と負荷時で異なるので,運動時の調節はchronotropic reserveだけが主役でないと思われる。そこで,非観血的心収縮性指標とされるET/PEPを負荷中の変化様式によりIa, b, c, II, III型に分類すると,若年健常者の多くで負荷量の増しとともにET/PEPは段階状に増加するが(Ia),加令さらには心筋虚血の出現とともに負荷量に伴うET/PEPの増しがみられなくなり(II),ついには0.5watt/kgの負荷ですらET/PEPが減少する(III)ようになった。したがって,この型分類は運動に対する心の予備力の判定に有用と考える。
- 北里大学の論文
- 1981-06-30