音楽を活用した教育実践に向けた基礎的研究 : 脳波からみた音楽鑑賞時の意識変動と心理的「構え」
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概要
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音楽が人間の心身に対してきわめて効果的な影響を与えることは、教育や医学の場面での応用をみるまでもなく経験的に知られている事実である。音楽が人間の心身に対してどのような影響と効果を及ぼすのかなどについての基礎的研究を行うことによって、広く誰もが使うことのできるような音楽を活用した一般的かつ効果的な教育プログラムを構築することができるものと考えられる。これまでに継続してきた先行研究から得られた所見に基づき、音楽が人間の心身にどのような影響と効果を及ぼすのかについて、音楽鑑賞時における人間の反応を脳波を指標とした意識状態の変化として捉えることを目的とした実験的検討を行った。得られた所見から1)音楽など有意味な音響刺激には、いわゆる覚醒調整効果をもたらす可能性があり、さらに2)心理的「構え」としては特に「鑑賞態度」と脳波的覚醒水準の変動が密接な関係をもち、3)心理的「構え」との関わりから音楽鑑賞時には変性意識状態と類似するような特異的な心理状態が存在する可能性があることを指摘した。今回心理的「構え」の要素として「好み」よりも「鑑賞態度」のほうが覚醒水準の変動に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。このことから、障害をもつ子どもにとっては、環境音楽的な活用のみならず、直接的に興味や関心をもち、注意を喚起しやすいような音楽を用いた指導内容を考えることで、より有効な教育的効果が得られる可能性があることが明らかとなった。
- 2004-05-31
著者
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