絵・語ストループ干渉課題における絵の命名とカテゴリー化に及ぼす項目間連想強度の効果
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概要
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本研究では, 絵・語ストループ課題を用いて, ターゲット事例を命名する場合, 及びカテゴリー分類する場合におけるディストラクター事例のターゲット事例に対するカテゴリー内項目連想強度の効果について検討することを目的とした. 実験は, 大学生24名 (男子7名、女子17名) を被験者として, 2課題 (事例命名・カテゴリー分類) のそれぞれにおいてストループ課題におけるターゲットの絵とディストラクターの単語におけるカテゴリーの連想強度を操作した3条件 (連想強度強・弱・統制) からなる被験者内1要因計画を用いた. 絵・語ストループ課題におけるターゲット項目は線画で, 動物, 乗り物, 果物, 野菜の4カテゴリーから6項目ずつが用いられた. また, ディストラクターとなる単語は, 各ターゲット項目に対して連想強度の高い項目と低い項目が予備調査の結果に基づき用意された. さらに, これに統制刺激 (『+++』の記号) を含む計72事例が用いられた. ディストラクターは, 全てカタカナ表記であった. リストは, ターゲット事例72と Filler18 の全90事例で構成された. 実験は, 心理学実験室において個別実施された. 被験者が行う課題は, 呈示される絵 (ターゲット事例) の事例名をできるだけ速く命名させる「命名課題」か, ターゲット事例の属するカテゴリー名を言わせる「カテゴリー分類課題」かのいずれかであった. なお, 刺激の呈示, 及び反応潜時の記録はパーソナルコンピュータによって制御された. 主な結果は, 次の通りであった. 事例命名課題では, 連想強度強条件, 弱条件, 統制条件の順で反応潜時が短くなり, それぞれの条件間でも有意差が見られた. また, カテゴリー分類課題では, 連想強度強条件, 弱条件, 統制条件の順で反応潜時が長くなり, 連想強度強条件と弱条件, 連想強度強条件と統制条件の間で有意差が見られた. しかし, 連想強度弱条件と統制条件の間では有意差が見られなかった. 以上の結果から, 絵一語ストループ干渉は, ターゲットとディストラクター間のカテゴリー内項目連想強度の程度により影響を受けることが明らかになった. このようにカテゴリー内連想項目間連想強度の違いにより処理への影響は, 事例命名課題では, 連想強度が強いほど干渉が起こり, カテゴリー分類課題では, 連想強度が強いほど促進されるという予想通りの結果であった. これらの結果は, 意味符号化説 (Glaser&Glaser, 1989) によって解釈された.
- 奈良教育大学の論文
- 2004-10-29
著者
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