今日の施設入所被爆者にみられた精神的健康の特徴
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概要
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原爆被爆者の精神的問題が注目されるようになったのは近年になってからで、その多くは医療の場を通してみられる問題の研究であった。本稿では、入院生活と一般社会生活との中間域といえる福祉施設入所の被爆者に焦点を当て、社会福祉の心理・社会的援助の観点から、その特性を論ずる。調査は被爆者専用の福祉施設入所者を対象に、精神的健康調査(GHQ12)を用いて実施した。結果として入所被爆者には、精神的な問題をもつ人が圧倒的に多く見受けられた。内訳は、うつ状態に関する因子が他の立場の被爆者群よりも多く見いだされ、被爆当時の出来事を自らの心の中に抑圧している面が文書回答事例をも通して認められた。また自らにレッテルを貼る意識的な不幸や憂うつ感は抱かずにいるものの、現状での行動力を欠く身体的症状や社会的活動障害に関する因子は強く持ち合わせている面が広く認められた。しかし施設入所による身体面の安定は、トータルな生活面で一定の満足を与え、現状の生活状態が保持できるのであれば、これから先の生活に関しては、これ以上は期待しないとするものが見られた。これら心理・社会的問題内容が明らかになったことにより、福祉施設内での心的被爆者援助にあたって、よりQOLを高める理解と、その増進が期待される。
- 2004-01-31
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