神経病原性マウスレトロウイルス感染ラットにおける脳代謝(ウイルス学)
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概要
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マウス白血病ウイルスA8およびPVC211は,新生仔ラットに接種すると海綿状脳症を誘導する.神経病原性ウイルス感染ラットにおける脳代謝を調べるために,A8,PVC211及び非病原性ウイルス57が感染したラットの脳のグルタミン酸(Glu)及びグルタミン(Gln)の量を測定した.Gluは神経伝達物質の一つで,クエン酸回路の中間代謝物から生合成される.また,Glnは,Gluから生合成される.次に感染ラットに,1位の炭素が^<13>Cであるブドウ糖を投与し,このブドウ糖から生成されてくる4位の炭素が^<13>CであるGlu(^<13>C-Glu)及びGln(^<13>C-Gln)の量を^<13>C核磁気共鳴法を用いて測定した.A8及びPVC211感染8〜9週目のラットの脳外套部および基底核を含む脳幹部領域では,Glnの総量が57感染ラットに比べ,減少していた.Gluの総量もA8感染8〜9週日の脳外套部及びPVC211感染8〜9週目の基底核を含む脳幹部領域で減少していた.一方,A8及びPVC211感染8〜9週目の脳外套部および基底核を含む脳幹部領域における^<13>C-Glu及び^<13>C-Glnの量は,57感染ラットの場合と同様であった.これらの結果から,神経病原性ウイルスが感染したラットの脳では,Glu及びGlnの新規合成能力は低下していないが,非病原性ウイルス感染ラットの脳と比べて,これらのアミノ酸を保持する能力が低下している可能性が示唆された.
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