台湾における動機づけ-衛生理論の実証的研究
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概要
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まず, 本研究の調査結果を要約しておこう。本研究の全体の結果によれば, 「承認」, 「仕事自体」, 「責任」, 「対人関係」, 「作業条件」を除いて他の5つの職務要因はハーズバーグ理論を支持する結果となっている。このうち「仕事自体」, 「責任」, 「対人関係」の3つの職務要因はハーズバーグ理論に反する結果となっている。すなわち, 「仕事自体」と「責任」は不満足要因, 「対人関係」は満足要因となっている。「満足のソースがM因子である」というハーズバーグの片方の理論は全体では支持できる結果となっている。しかし, 「不満足のソースがH因子である」というハーズバーグのもう片方の理論は全体では支持されていない。従って, 全体の結果はハーズバーグ理論を部分的に支持しているといえる。ハーズバーグの結果 (1976年) と本研究の全体の結果とを比較すると, 「達成」の満足, 「承認」の満足, 「仕事自体」の不満足, 「責任」の満足と不満足, 「昇進と成長」の満足, 「経営ポリシーと管理」の不満足, 「給与」の不満足, 「対人関係」の満足などに大差があることがわかる。会社別の結果によれば, 「満足のソースがM因子である」というハーズバーグの片方の理論は14社のうちの11社で支持できる結果どなりており, 1社でこの片方の理論に反する結果となつている。「不満足のソースがH因子である」というハーズバーグのもう片方の理論は14社のうちの2社で支持できる結果となつており, 2社でこの片方の理論に反ずる結果となっている。各層別の結果によれば, 作業系を除く他のすべての層工では, 「満足のソースがM因子である」というハーズバーグの片方の理論は支持できる結果となっている。しかし, 「不満足のソースがH因子である」というハーズバ」グのもう片方の理論は31歳以上, 長勤続 (5年以上), 技術系, 低学歴 (小学卒・中学卒・高校卒) の4つの層を除く他の10の層では支持されていない。さて, 以上の台湾企業の労働者を対象とした調査結果から, 本研究の結論としてつぎの4点を主張したい。(1) ハーズバーグのM-H理論は部分的には妥当性の高い理論である。(2) バズバーグのM-H理論は文化的差異が考慮に入れられる必要がある。(3)「対人関係」は満足要因 (動機づけ要因) 的傾向をもつ。(4) バーズバーグのM-H理論は精激化される必要がある。以上, 本稿では, 台湾におけるM-H理論の実証的研究について述べてきたが, その際米国におけるバーズバーグの調査結果 (1976年) と日韓台におけるわれわれの調査結果との比較 (日米韓台比較) や調査結果の日韓台比較を行わなかった。そこで, 次稿では, 日米韓台比較と日韓台比較を行ってみたい。かかる比較によって, 動機づけ要因の東アジア的特質を明らかにすることができるであろう。
- 1989-01-20
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