談話構造分析を活かした初級作文指導の可能性
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概要
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談話構造分析を採り入れた作文指導には,フローチャートなどで文章の論理展開を与えそれに沿って書く方法や,モデル作文を読みそれを参考にして書くといった方法がある。この方法は学習者に文章の論理展開を認識させ,あるパターンを用いることで論理レベルの誤用を滅らすことができるという点では優れているが,学習者が伝えたいことを枠にはめこむという活動に終始してしまいがちであるという問題がある。また,書き手が文章を書く上で不可欠な思考活動を妨げることにもなりかねないという問題もある。本稿では,作文指導に関する先行研究の知見を採り入れ,分かりやすくまとまりがある作文を書くことを目標にした初級学習者に対する指導実践を紹介し,その意義と可能性を考察した。指導は,1)書く内容を明確にした課題の確認,2)書く,3)文法レベルの自己訂正,4)学生同士のディスカッションによる内容吟味,の順序で行った。本稿では,4)のディスカッションを通して,内容がどのように吟味され,それに関連させて談話に関する項目をいかに指導することができるかを紹介し,その可能性について考察した。このことから,作文指導においても,教師が従来のパターン中心の指導方法にとらわれず,「学習者主体の言語学習」や「課題先行型の学習」へ柔軟に発想を転換することが求められているのではないかと考えられる。
- 岐阜大学の論文
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