児童の記銘学習におよぼす言語強化とテスト不安の効果およびGSR(第1部)
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概要
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本研究の目的は,記銘学習におよぼす言語的賞罰の効果が,学習者(小学校5年生)のテスト不安の程度により異なるかどうかをGSRを動機づけの指標として検討することを目的とした。被験者は,男子128名,女子120名より抽出されたもので,高不安賞群,高不安罰群,高不安統制群,低不安賞群,低不安罰群,および低不安統制群,各群10名ずつの6群に編成された。結果は次のとおりである。1.記銘時のGSR抵抗変化率の10試行間の変化をみると,高テスト不安賞群のそれが他の群より大きい傾向があるが,有意でない。また,試行間の変化も有意でない。2.再生時のGSR抵抗変化率の10試行間の変化をみると,高テスト不安統制群,高テスト不安罰群で抵抗変化率が他の群より小さい傾向があるが,有意でない。また,抵抗変化率は10試行間に有意に減少している。3.記銘学習の成績をみると,テスト不安の高・低の効果と試行の効果が有意である。すなわち,他の条件をすべてこみにして,低不安群の平均正答率が高不安群のそれより有意に高かった。また正答率は10試行間に有意に上昇した。以上のように正答率と記銘時の抵抗変化率は10試行間にほぼ逆の変化を示している。また言語強化の群をこみにしてみると,高不安群と低不安群の成績の差と抵抗変化率の差はほぼ同じ方向である。これらのことから,言語的賞罰が学習に影響がみられないが,GSRは動機づけの一つとしてのテスト不安の効果を反映していると考えられた。附記本研究を実施するにあたり,千葉市立弥生小学校(植草勅寿校長)および森町小学校(八代進校長)の諸先生方ならびに児童の皆さん,田村康弘君(現在江戸川区白鳥小学校)の協力を得た。記して感謝の意を表します。
- 千葉大学の論文
- 1971-07-31