カトマンドゥ盆地・パタンの仏教僧院地区・ブバハルの空間構造

概要

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本稿はカトマンドゥ盆地パタンのブバハル地区を対象とし、その空間構成原理を仏教僧院(バハーバヒ)の空間構造との関係において明らかにするものである。カトマンドゥ盆地のパタンは早くから仏教文化の中心都市の一つとして知られ、仏教僧院が現在も市の全ての地区に存在する。バハ(bahal)として知られる仏教徒の僧院は地区のコミュニティの社会的、宗教的中心である。本稿はそのような地区の一つブバハル(Bubahal)を取り上げて形態分析を行い、歴史的空間的に発展してきた居住地区が、バハを核としてどのように組織化されたかを明らかにする。また、カトマンドゥ盆地の都市形態およびバハの建築の発展にとって、極めて重要な段階を示すバハコミュニティの中庭についての分析を行う。日本工業大学グループなど先行研究は、王宮の建築あるいはバハの建築について主として明らかにしている。本稿はバハーバヒの空間構造が地区の空間構造にとっても決定的な役割を果たしていることを明らかにすることにおいて大きな意義を有するものである。
社団法人日本建築学会の論文
1998-11-30