GFP-eNOS融合蛋白質の細胞内分布と酵素学的性質について
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概要
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目的 : 内皮型NO合成酵素 (以下eNOS) はこれまで様々な細胞の生理的応答に関与することが報告されてきたが, その細胞内輸送に関しては不明な点も多い。eNOSの細胞内挙動を調べるために, 牛由来eNOSに緑色蛍光蛋白質 (以下GFP) を融合させたプラスミドを2種類作成してCOS7細胞内に導入, 発現させ, GFP-eNOS融合蛋白質の細胞内分布と酵素学的性質を調べた。結果 : eNOSのC末端にGFPを融合させた蛋白質 (以下GFPN_3-eNOS) は核の近傍に強い集積が認められたのに対して, eNOSのN末端にGFPを融合させた蛋白質 (以下GFPC_1-eNOS) は核外の細胞質部分に存在しGFPN_3-eNOS様の集積は認められなかった。低温下SDS-PAGEではGFPN_3-eNOSは二量体形成が認められたのに対してGFPC_1-eNOSは安定な二量体形成は認められなかった。薄層クロマトグラフィー法 (TLC) を用いたNOS活性測定ではアルギニンからシトルリンヘの変換比がGFPN_3-eNOSで16.38±1.43%, GFPC1-eNOSが7.80±0, 66%とGFPN_3-eNOSの活性はGFPC_1-eNOSと比較して有意に高かった。結論 : eNOSのC末端にGFPを融合させると酵素活性は維持され核の近傍に強い集積が認められたことから, eNOSの生理的な細胞内の状態を調べるのに適切なモデルであるであると考えられた。一方, eNOSのN末端にGFPを融合させた場合は安定な二量体形成が認められず, このことによって細胞内局在に変化を及ぼしていることが示唆された。
- 神戸大学の論文
- 2002-03-29
著者
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