原発性肝細胞癌患者及び非癌患者から得られたC型肝炎ウイルス非構造タンパク質NS3とNS5Aの比較解析
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概要
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兵庫県及び山形県から得られた検体を用いて, 原発性肝細胞癌 (HCC) 患者及び非癌患者のC型肝炎ウイルス (HCV) の非構造タンパク質NS3とNS5Aの変異について比較解析し, HCC発症におけるこれらの変異の意義を検討した。NS3のアミノ末端領域のアミノ酸配列にはかなりの多様性がみられ, HCV-1b株はその二次構造によってグループAとグループBの2群に大別された。兵庫県, 山形県いずれにおいても, 非癌患者由来株では約半数がグループAであり, 残りはグループBあるいはそれに類似する変異株であった。一方, HCC患者由来株では, グループAは10〜20%のみで, 残りの80〜90%はグループBあるいはそれに類似する変異株であった。これらのことから, グループAは低発癌性ウイルス株, グループBは高発癌性ウイルス株である可能性が示唆された。NS5Aについては, 兵庫県, 山形県ともに, HCC患者由来株では, 非癌患者由来株に比べて, インターフェロン感受性決定領域 (ISDR) に4ケ所以上のアミノ酸変異を有するものが多くみられた。以上の成績は, NS3アミノ末端領域の二次構造解析によって高発癌性ウイルス株を同定し, HCC発症危険性を予測し得る可能を示すとともに, 高発癌性ウイルス株の多くはインターフェロン感受性であり, HCC発症予防にインターフェロンが有効であることの理論的根拠を示すものである。
- 神戸大学の論文
- 2002-12-25
著者
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堀田 博
神戸大学大学院微生物学
-
堀田 博
神戸大 大学院医学系研究科 ゲノム科学 微生物ゲノム学分野
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堀田 博
神戸大学大学院医学系研究科微生物学
-
Huab Florese
神戸大学大学院医学系研究科ゲノム科学講座微生物ゲノム学分野
-
堀田 博
神戸大学大学院医学研究科微生物学分野
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