難治性頻拍性不整脈に対するNd : YAG Laser ablation 治療に関する実験的研究
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概要
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Laser ablation が, 従来の不整脈治療法を補強する新しい治療手段となり得るか否かを検討した。雑種成犬20頭を用い, 4極カテーテルを右大腿静脈より挿入し, His 束心電図が最大となる部位を検索した。その後右心耳より Laser probe を挿入し, 出力6W〜10W, 照射時間3〜5秒の Laser ablationを開始した。この方法で完全房室ブロックが作成されるまで Laser 照射を反復した。Argon laser の metal tip probe とNd : YAG laser の ceramic tip probe を用いたが, すべてに完全房室ブロックが作成され, 完全房室ブロック作成に要した平均照射量は Argon laser の224Jに対し, Nd : YAG laser では平均68.2Jと有意に少量のエネルギー量で作成された。組織学的検索では, 焼灼部は完全に coagulation necrosis に陥っていた。Nd : YAG laser の照射出力と変性域の関係を検討したところ, 出力の増加に伴い, 変性域の直径, 深度は増加し, 照射量と最大深度との間には, r=0.935 (P<0.01) の正の相関関係が認められたが, 最大直径には限界がみられた。一方, 照射回数と最大深度との関係にも正の相関関係を認めたが, 最大直径には限界を認めた。この事実は, 低い出力の Laser 照射により, 周囲組織へのダメージは最小限とし, 深度を自由に調節できるものと考えられた。以上の所見より, Laser は調節性に優れ, 短時間で確実に限局した範囲を焼灼でき, 今後カテーテル焼灼法を含めた不整脈治療の一手段として有用であると考えられた。
- 神戸大学の論文
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