WHHLラビットヘテロ接合体のトリグリセライド代謝の観察
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概要
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LDLリセプターの欠損するWHHLラビットのヘテロ接合体(WHHLH) に果糖を投与し高トリグリセライド血症とし, LDLリセプターの半減した状態とコレステロール合成阻害剤の投与にてその活性を亢進させた状態がVLDL-トリグリセライドの代謝にいかなる効果をおよぼすかを観察し, in vivo でのトリグリセライド代謝におけるLDLリセプターの役割を検討した。WHHLHに果糖を投与すると血中トリグリセライドは有意に上昇した。血中トリグリセライドの代謝回転について観察すると, 果糖非投与群と比較してトリグリセライド分泌率 (TGSR) は不変であったことから, 本群においては血中トリグリセライドの除去率 (FCR) が低下していることが示された。一方, コントロールとした日本白色家兎ではこのような果糖投与によるトリグリセライドの代謝の変化は認めなかった。次に, この果糖負荷WHHLHにコレステロール合成阻害剤であるフルバスチンを投与したところ, 血中トリグリセライドの低下のみならずTGSRの低下が認められたが, FCRは有意に上昇した。したがって本薬剤は肝臓におけるVLDL粒子の合成分泌を低下させることにより, 血中トリグリセライドを低下せしめるものと考えられたが, 同時に本薬剤による残存LDL-リセプターの活性増強によるVLDL-トリグリセライドの血管外への除去の促進も認められた。即ち, VLDL-トリグリセライドの血管外への除去にLDL-リセプター機能が深く関わっていることが明らかとなった。
- 1997-12-01