胆管癌術前進展度診断における胆管腔内超音波法(IDUS)の有用性の検討 : 3次元表示IDUSの有用性を含めて
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概要
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胆管癌の術前進展度診断における2次元表示胆管腔内超音波法(2D-IDUS)の有用性について検討するとともに,新たに開発されつつある3次元表示胆管腔内超音波法(3D-IDUS)の有用性についても言及した。基礎的検討では,IDUSにより胆管および周囲構造の詳細な連続観察が可能なこと,IDUSで胆管壁の主体として観察される中間低エコー層が主に線維筋層と外膜層に対応し,腫瘍はこの低エコー層の肥厚として観察されることを確認した。胆管癌臨床例における検討では,胆管横断面方向の進展(垂直進展)の診断として,膵外胆管では腫瘍エコーの外縁形状を基準として癌浸潤が外膜層を越えるか否かの壁深達度診断が可能(正診率93.3%)であり,膵内胆管では外側高エコーの断裂の有無から膵浸潤診断が可能(正診率92.3%)であった。また大血管浸潤は腫瘍エコーと胆管壁の接触状態を基準として浸潤の有無が正診率100%で診断可能であった。これに対し胆管長軸方向の進展(水平進展)の診断は2D画像では客観的表現が困難であり,表層・壁内進展の描出が不十分で正診率は62.5%であった。したがって2D-IDUSは胆管癌の垂直進展の診断に有用性が高いものと考えられた。一方,3D-IDUSは2Dでは表現困難であった胆管長軸方向の変化をより明瞭かつ立体的に捉えることができ,水平進展の診断における有用性が期待された。IDUSは胆管癌垂直進展の評価に有用性が高く,3D-IDUSの導入によりさらに水平進展を含めた胆管癌の術前進展度診断法として有用性が増すものと考えられた。
- 千葉大学の論文
- 1998-08-01
著者
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