20MHz細径超音波プローブによる表在食道癌深達度診断の基礎的,臨床的検討
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概要
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通常内祝鏡の鉗子孔より挿入可能な20MHz細径超音波プローブは,従来用いてきた7.5MHz超音波内視鏡(EUS)に比べ分解能が向上し,食道表在性病変の描出に優れ,表在性食道癌の深達度診断の手段として,また,内視鏡的粘膜切除術の適応を決める手段として期待が寄せられている。しかし,深達度診断を行う前段階として不可欠である層構造の解釈に関しては,今だ一致した見解が得られていない。そこで我々は,基礎的,臨床的検討,ならびに超音波の理論からの考察を行い,層構造の同定を行った。基礎的検討では,塩化ビニール板を用いて本プローブの実際の距離分解能を把握し,食道壁層内への針刺し実験を行った。臨床的検討では,表在食道癌の超音波断層像と病理組織像との正確な対応を行った。また,超音波の理論より,層と層の間に生じる境界エコーに着目し,その性質について考察を加えた。粘膜筋板(mm)は,それ自体を描出することは難しく,第3層のhigh echo層の中に含まれると解釈された。そのため,超音波像に見合った深達度分類を行う必要があると考え,表在食道癌の深達度をType A〜Cに分類した。その結果,表在食道癌切除例36例の深達度診断の正診率は86%であり,本プローブが深達度診断の手段として有効であると考えられた。
- 千葉大学の論文
- 1998-06-01
著者
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