全身性エリテマトーデスの腎組織像と血清C3値を指標としたステロイド療法
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概要
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全身性エリテマトーデス(SLE)の生命予後に最も関与する臓器病変はループス腎炎であり,腎組織像,特に予後不良とされる増殖性腎炎の確認が治療上必要とされている。しかし,SLEの診断時におけるWorld Health Organization (WHO)分類による組織型の頻度は不明であり,腎生検の適応もまだ確立しているとはいえない。本研究は,SLEの診断時に増殖性腎炎(III,IV型)を予測する因子を検討するため,臨床所見と腎組織所見とを比較し,腎生検の適応につき考察した。また,血清C3値の正常化を目標としたステロイド療法を行い,その予後を検討した。SLE患者139名の診断時に臨床的な腎症の有無に関わらず腎生検を施行した。ループス腎炎のWHO分類による腎組織はI型8.6%,II型32.4%,III型22.3%,IV型25.2%,V型11.5%であった。尿所見陰性群33例のなかにはI型が7例,II型が19例,III型が4例,IV型が1例,V型が2例が存在した。増殖性腎炎(III,IV型)の予測において,持続性血尿(≧5 RBC/HPF)の存在は感度,特異度はともに86.4%であり,他の検査所見より優れていた。この結果,持続性血尿を示すSLEは腎生検の適応であると考えられた。血清C3値の正常化を目標としたステロイド療法の結果,死亡率は10.8%であり,5年生存率は94.1%,10年生存率は87.4%, 15年生存率は85.7%と良好であった。また,生存者124例で,腎機能不全を示したものは1例のみであり,血清C3値を指標とした治療の有効性が確認された。
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