リンパ球反応性を持つマウスモノクローナル抗DNA抗体の特異性の解析
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概要
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SLEでみられる抗DNA抗体は,DNA,RNA,燐脂質,プロテオグリカン,免疫グロブリンや細胞膜などと多彩な交差反応性を持つことが知られているが,その産生機構は未だに明らかとはいえない。本研究者は,一本鎖DNAおよび二本鎖DNAと交差反応性を有ナるマウスモノクローナル抗DNA抗体(抗ss/dsDNA抗体)が,マウスT細胞株細胞膜蛋白と特異的に反応することを偶然に見いだした。そこで,モノクローナル抗DNA抗体のリンパ球系細胞への結合性をフローサイトメトリーで観察し,また対応抗原の分子量を求めた。抗ss/dsDNA抗体の多くは,マウスT細胞株,Pre-B細胞株,B細胞株,マイトジェン刺激幼若化脾細胞と結合したが,形質細胞株や非刺激脾細胞に対しては結合活性を示さず,活性化したリンパ球上に出現する分子へ結合するものと考えられた。抗ssDNA抗体は,いずれの細胞に対しても結合活性を示さなかった。この反応は,dsDNAにより容量依存性に抑制され,抗原結合部位を介して特異的に結合しているものと考えられた。また,細胞もしくは抗体をDNase Iで前処置しても結合活性に変化はなかった。Western blottingの結果,抗DNA抗体が結合するEL-4細胞膜上の対応抗原は46kDの分子と固定された。リンパ球表面上の抗原が抗DNA抗体産生を誘導したり,他の原因によって誘導された抗体産生を協調的に刺激するか否かは今後の検討課題であり,対応抗原のさらに詳細な構造を明らかにすることは,抗DNA抗体の産生機構や病態への関わりについて多くの知見を提供するものと思われる。
- 千葉大学の論文
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