Dynamic MRIによる腎機能の定量的評価
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概要
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Gd-DTPAを用いた腎のDynamic MRIを施行し,その時間信号曲線の解析により腎機能定量的評価の可能性を考察した。基礎的実験としてファントムを用いて各種パルス系列によるGd-DTPの濃度信号曲線を求め,Dynamic MRIに最も適したパルスを決定した。この結果定量的評価にはshort SE法が最適と判断された。次に自己腎11例,移植腎12例において臨床応用を試みた。ROIは腎実質に設定し,得られた時間信号曲線を定性的に評価するほか,2コンパートメメントモデルを想定したクリアランス法によって定量的にも解析を行った。このモデルでは,時間信号曲線は理論的に次式で表現される。X(t)=A・exp(-k1・t)+B・exp(-k2-t)-C・exp(-k3・t)したがって時間信号曲線を最小二乗法にてこの理論式に近似させるとA, B, C, k1, k2, k3が求められる。これらからGFR評価のパラメーターとして新しくMRI-GFR=k1・k2/A・k1+B・k2を考案し,^<99m>Tc-DTPAを用いたRIレノグラムのパラメーターと比較した。その結果,MRI-GFRはRIレノグラムから算出したGFRと良好な相関関係を示した(相関係数 r=0.901)。一方,病的腎臓においてはMRIとRIの所見が一致しない例も存在したが,これはRIが単純にアイソトープの排泄能をみているのに対し,MRIは造影剤の排泄能だけでなく濃縮能も表しているためと考えられた。本研究により,Dynamic MRIによる腎の定量的機能評価の有用性が示唆された。
- 千葉大学の論文
- 1994-10-01
著者
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