超音波パルスドプラ法による鼓膜振動の観察
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概要
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鼓膜振動に関する研究は古くから行われ,諸家がさまざまな方法をもって種々の報告をしている。しかし,その多くはモデルや動物,ヒト死体側頭骨を用いたもので,ヒト生体鼓膜で実際にその振動を観察記録したという研究は希である。われわれは今まで困難とされてきたヒト生体鼓膜の振動を外耳道から容易に挿入できる直径1mmの探触子をもつ超音波パルスドプラ装置を用いて実際に観察し,その伝音機構を物性測定という観点から解明することを目的に研究を行い,以下の結論を得た。(1)ヒト生体鼓膜は気導純音,バンドノイズ,骨導純音刺激により刺激音と同一のパワースペクトルを有す振動を示すことを確認した。(2)ホワイトノイズを負荷した場合には多数の広帯域にわたる共振周波数が存在することを確認した。(3)被験者に母音を発声させた場合に,ヒト生体鼓膜は音声の周波数に対応した共振周波数を示し,最も強いピークを示す周波数は第1ホルマント周波数に対応することが判明した。(4)単発矩形波刺激を頭蓋骨に与えて鼓膜振動を励起した検討では,ヒト生体鼓膜の最低次の共振周波数は300〜340Hz,共振のQは8〜15であった。(5)本法によって比較的簡単に伝音系の物性を測定できることが確認された。
- 千葉大学の論文
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