ヒト α-ketoaldehyde dehydrogenase と maillard 反応調節機構に関する実験的研究
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概要
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Maillard反応は,蛋白のアミノ基と還元糖との非酵素的結合反応である。その初期段階化合物の形成後も,脱水・転位反応を繰返し,蛍光並びに架橋を有する褐色の後期段階化合物を形成する。最近,このMaillard反応後期段階化合物が,生体内で生成・蓄積され,各種病態の原因あるいは機能障害をおこすことが明らかにされ,とくに,老化や糖尿病性合併症との関係が注目されてきた。また,Maillard反応後期段階化合物が生成される過程で,3-deoxyglucosone(3DG)等のカルボニル化合物が活性中間体として存在し,重要な役割を演じている。そこで,著者は,3DGと類似構造を有するジカルボニル化合物であるmethylglyoxalを基質として反応するα-ketoaldehyde dehydrogenase (α-KAD) に注目し,Rayらの方法を一部変更して,ヒト肝よりα-KADを抽出し,Maillard反応との関係を検討した。抽出・精製されたヒトα-KADは,methylglyoxalのみならず3DGを基質として反応し,それぞれのkm値は,0.24および0.47mMであった。また,SDS-gradient PAGEを用いて測定した分子量は約43K daltonであった。α-KADの活性は,p-chloromercuribenzoateで,ほぼ完全に阻止された。この抽出・精製されたα-KADをNAD存在下で,3DGと30℃で2時間preincubationした後,モデル蛋白としてlysozymeを添加して,37℃で14日間のincubationを行った。この場合,酵素処理群ではMaillard反応後期段階化合物の有する蛍光強度は,酵素非処理群に比べて有意に抑制された。以上の結果,ヒト肝より抽出・精製したaldehyde NAD oxidorebuctase に属するα-KADは, methylglyoxal,3DGを基質とし,それぞれ0.24,0.47mMのkm値を示し,分子量約43K daltonであること,さらに,本酵素がMaillard反応調節機構に関与することを証明した。
- 神戸大学の論文
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