ニホンナシ果実の成熟過程におけるペクチン物質の変化について

概要

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本研究はニホンナシ3栽培品種:新高,新水及び新世紀の果実の収穫適期を判定するための基礎的資料を得る目的で,樹上でのそれら果実の成熟過程における果実重,精度及びペクチン物質の量的,質的変化と成熟現象の進展との関係を調べた。1.果肉中のアルコール不溶性固形物含量は各品種とも適熟果が1.6%以下で,それぞれ最低値を示した。また,各品種の同じ熱度間には,著しい差異は認められなかった。2.糖度は各品種とも成熟が進むにつれて増加した。各品種における適熟果の糖度値は9.0〜11.5%で,一般値のそれと較べていずれも多少低い値を示した。3.供試した新世紀の適熟期における平均果重は市販の平均果重に較べて重く,他2品種のそれは軽い値を示した。4.塩酸可溶性,ヘキサメタリン酸可溶性及び水溶性の各ペクチン量は各品種とも成熟が進むにつれて減少した。また,全ペクチン含量は各品種とも適熟果が低い値を示した。5.各品種の果肉中における全ペクチン含量は未熟果では,0.23%以上,中熟果では,0.21%以下,適熟果のそれは0.15%以下の値を示した。6.全ペクチン量に対するヘキサメタリン酸可溶性ペクチン量の比率は,品種間及び熟度間に顕著な差異は認められなかった。しかし,塩酸可溶性ペクチン量の比率は,各品種とも熟度が進むにつれて減少した。また,水溶性ペクチン量の比率は各品種とも熟度が進むにつれて増加し,それぞれ適熟果が最高値を示した。7.以上の実験結果から,精度,果実重及びペクチン含量の変化は興味ある点が多い。これら資料はニホンナシ果実の収穫適期を判定するための重要な指標になるものと考える。

ニホンナシ果実の成熟過程におけるペクチン物質の変化について

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