単クローン性抗体を用いたインスリン分解酵素の組織分布と細胞内局在に関する研究
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概要
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我々はインスリンの生体内代謝機構にインスリンに対して高い親和性を有する蛋自分解酵素であるInsulin-degrading enzyme (IDE)の重要性を報告してきた。今回,IDEに特異的な単クローン性抗体を用いてIDEの組織分布におよび細胞内局在について検索した。その結果、1. サンドイッチ法によるRIA系を用いてIDEのラット組織分布を検討したところ,肝,腎,脳,骨格筋の全てにIDEの存在が認められた。また,IDEは肝に最も多量に存在することが示された。2. RIA法によるIDE量と従来のトリクロロ酢酸を用いた沈澱法(TCA法)で得られたインスリン分解活性の比較では,肝を100%とした場合,脳,骨格筋では83-117%とほぼ同等であったが,腎では約2倍であり,インスリン分解活性がそのままIDE量を反映し得ないことが示唆された。3. 酵素抗体法による免疫光顕でのラット肝IDE免疫反応性は肝静脈よりも門脈周辺の肝細胞に強く,また,胆管上皮にもIDEの存在が認められた。4. 免疫電顕では,IDE免疫反応性は粗面小胞体周可辺の細胞質に存在し,細胞膜,核,ミトコンドリアには認められなかった。5. Immunoblotting法およびRIA法の結果からも同様に,IDEが細胞質可溶性分画に存在することが示唆された。
- 神戸大学の論文