二重否定表現の一考察 : 形式と意味の相関性を中心に
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概要
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日本語における曖昧な表現は,日本語の難しさの一因だと考えられる。曖昧な表現の一つに二重否定表現がある。本稿は,様々な先行文献を手がかりに,現代日本語の二重否定表現の定義,形式,形式と意味の相関性について検討することを目的とする。そのために,近現代の代表的な作家の作品でよく読まれていると考えられる作品の中から,二重否定表現の用例を抽出して分類整理した。その結果,日本語における二重否定表現は,実に多様な形式を有することが分かった。しかし,形式は多様であっても,同じ否定辞が用いられること,形式に類似性があることを手がかりに類型化できることを発見した。更に,類型とその担っている意味には,かかわりがあることも判明した。日本語の二重否定表現について,以下のようなことが言えるだろう。〔1〕二重否定表現の形式は多様であるが,類型化できるものが多い。〔2〕二重否定表現に用いられる否定辞は次の四種類である。(1)打消の助動詞(2)形容詞「ない」(3)漢語の接頭辞(4)否定的な意味を持つ語句〔3〕二重否定表現は,形式と意味が相伴うもので,決まった形式に決まった意味がある。〔4〕二重否定表現の意味は大きく分けて二つある。つまり,「肯定」か「否定」かという「基盤的な意味」と,「強調」「曖昧」「婉曲」などの情緒面にかかる「副次的な意味」である。これは日本語の二重否定表現の特徴と言えよう。〔5〕「副次的な意味」の内容が豊富である。中でも,特に「強調の意味」「曖昧な意味」が多い。
- 2005-03-01
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