正常眼圧緑内障患者の眼圧日内変動と血圧との関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
正常眼圧緑内障の危険因子として唯一エビデンスが確立されているのは眼圧だけであり,その眼圧の高い値と大きな変動幅が疾患の進行に関与すると言われている.今回筆者らは血圧が正常眼圧緑内障進行の危険因子となりうるか否を検討した.対象は未治療の正常眼圧緑内障患者81例とし各患者の最高眼圧を示す時間帯および,眼圧変動幅を決定した.血圧の検討は収縮期140mmHgあるいは拡張期90mmHg以上を示す患者を高血圧群,収縮期血圧100mmHg以下を示す患者を低血圧群,それ以外の患者を正常血圧群と定義し各群における最高眼圧を示す時間帯,眼圧変動幅を比較した.全81例における平均日内変動幅は4.9mmHgであった.眼圧日内変動測定の結果眼圧が21mmHg以上で開放隅角緑内障と診断名が変更された症例は10例(12%)であった.最高眼圧を示す時間帯では午前型が35例(43.2%),午後型が16例(19.8%),夜型が5例(6.2%),深夜早朝型が21例(25.9%)であった.一方,日内変動幅が3mmHg未満で平坦型と分類されたのは4例(5%)であった.患者血圧群別の分類と眼圧変動幅は低血圧群15例で6.3mmHgと,正常血圧群10例の4.6mmHg,高血圧群56例の4.4mmHgと比較して有意に大きな変動幅を示した.(p<0.05).以上の結果から外来時眼圧が正常眼圧でも,再検で開放隅角緑内障と診断される症例があること,そして低血圧の症例では眼圧変動幅が大きい高いため低血圧が正常眼圧緑内障進行の一つの危険因子になりうると考えられた.
- 2005-05-31
著者
関連論文
- 正常眼圧緑内障患者の眼圧日内変動と血圧との関係
- 正常眼圧緑内障に対するラタノプロストの眼圧下降効果
- 正常眼圧緑内障の傍網膜中心窩毛細血管血流速度
- 健常人における塩酸ブナゾシン点眼による傍中心窩毛細血管血流速度の変化について
- 甲状腺機能亢進症の再燃とともに発症した Leber 遺伝性視神経症の一例
- ラタノプロスト点眼による傍中心窩毛細血管血流速度の変化 (特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(2))
- リドカイン眼内投与の白色家兎眼に対する影響
- 正常眼圧緑内障の傍網膜中心窩毛細血管血流速度
- 正常眼圧緑内障に対するラタノプロストの眼圧下降効果
- 赤外線画像を用いた強膜弁の観察
- 赤外線画像を用いた強膜弁の観察