Southern Womanhood, the Racial Other, and Amalgamation : Death and Revivification of Two Beautiful Women in E. A. Poe's "Ligeia"(In Commemoration of the Retirement of Professor Shunsuke Okuda, Michinobu Takagi and Tadashi Takahashi)
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概要
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本稿は,エドガー・アラン・ポーの短編小説「リジイア」の中に,人種に関する表象を見出し,それらを,白人女性崇拝,異人種間結婚への嫌悪,人類多原発生説への傾倒といった,アンテベラム期アメリカ南部の人種主義的な言説と比較検討することを目的とする。「リジイア」には二人の対照的な美女が登場する。ロウィーナは,南部の白人女性の理想を体現する人物であり,リジイアは,その理想をことごとく拒否し,白人と異人種の混血児であることを暗示する人物である。理想的な白人女性は,南部の秩序と安定の象徴であったにもかかわらず,作品には,ロウィーナを憎悪し,リジイアの魅力に取りつかれる語り手が登場し,結末では,リジイアとロウィーナが合体する場面が描写される。ポーは,アメリカで人種をめぐる議論が活発であったアンテベラム期に創作活躍をしたが,文学作品において,人種に関する問題を直接扱うことはほとんどない。彼を奴隷制擁護の南部人だとみなす批評家もいる。しかし,「リジイア」に潜んだ人種の表象を検討すると,ポーは作品において,人種主義的な言説を解体し,表面的な人種の差異によって明確な境界を定めることの無益さを描いたのではないかという結論に至る。
- 2004-12-31
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