老年期における死に関する一考察
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概要
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いかなる人間にとっても死は常に未来の事象である。よって死について語ることはすなわち未来について語ることであると言えよう。特に高齢者にとって死は、かなりの実在感を伴う未来事象であると考えられる。本稿では、このような観点から「未来分析」という手続きを通して、老年期における死の概念について考察し、以下に述べる点を確認および指摘した。1)生と死は対立する概念であると同時に表裏の関係をなす概念である、2)死は人生の終わりであると同時に人生の目標を意識化させる究極の目的である、3)未来分析の観点からすると、前者は単純未来としての死、後者は意志未来としての死と捉えることが可能であり、高齢者がどちらを志向しているかによって周囲のアプローチは異なってくる、4)さらに老年期における死を理解するにあたっては「希望」「諦め」「不安」など未来展望に関わる概念が鍵となる、5)周囲の人々には、手助けを「する」のではなく、むしろ手助けに「なる」ことが求められる。
- 東大阪大学の論文
- 2005-03-15