19世紀natural historyとWalden years
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
19世紀初期・中期の自然研究はナチュラル・ヒストリーと呼ばれていた。博物学と訳すことが多いように、動物、植物、鉱物を研究する総合的科学であった。また、一般庶民との断絶も無く、「科学もの」は当時の講演文化の中でとくに人気のあるテーマの一つであった。「生物学」の語が「ナチュラル・ヒストリー」に取って代わり、科学が専門化の一途をたどるのはダーウィン以後のことである超越論者ソローも当然自然への深い関心から当時の科学書を読破した。詳細な命名、自然観察のポイント、記述の仕方などの知識は彼の自然記述を容易にし、同時に彼自身にも大いなる喜びを与えた。しかし同時に、当時の科学が内部から変質しつつあったことも事実である。各種の収集器具や顕微鏡・望遠鏡が登場し、人間の目と手に取って代わっていった。記述においても人間の主観性は排除され機械的なデータ中心主義に移りつつあった、ブローは科学に深まりゆく関心を抱きながらもその非人間性に恐怖を感じる一面を持ち合わせていた。彼の内面の葛藤は日記に痛ましく綴られているが、彼の内的緊張が高まった50年代初期は、ちょうど彼が超越端的理想を謳いあげたWalden執筆に没頭している時期でもあった。当時の科学はWaldenにどのように反映しているだろうか。また、彼が理想とした詩と科学の調和はここで達成されているだろうか。
- 東大阪大学の論文
- 2005-03-15
著者
関連論文
- エマソンのエピグラフについて
- 19世紀natural historyとWalden years
- ヘンリー・デイヴィッド・ソローのA Week on the Concord and Merrimack Rivers : からの逸脱