本学における精神看護学実習の歩み : 精神看護学実習の経験型実習教育の確立にむけて
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概要
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精神障害者はかつて、不可解な言動をするがゆえに忌み嫌われ閉じ込められた。そこには「人と人との関わり」など存在しなかった。看護の原点は「人を癒す」ことである。この基本に立てば精神看護学の重要性は自ずと明白である。しかし看護教育において精神看護学は、1997年度までは成人看護学の一部としての捉え方であった。さらにこれまでの医学モデルのカリキュラムでは、精神看護学の機能役割が看護の原点であることが見えにくかったように思われる。1997年度にカリキュラムが改正され、その特徴は、病気の看護から生活する人間の看護へ、看護モデルでのカリキュラムヘと移行し ている。看護学の視点になれば、「心を癒す」「人間関係」という課題を対象にしているのが精神看護学であることが見えるようになった。すなわち、より全人的ケアーヘと移行し精神看護学が独立し た。このことを踏まえ、今回筆者は、本学の精神看護学実習の歩みを検証すると共に、現在の本学の精神看護学実習の原点である、「精神障害者との関わりそのものを経験として意味づけることで、学生自身が看護を考える」という経験型の実習方法が、どのような学びをもたらしているのかを、文章完成法による自由記述のアンケートで検討した。その結果、経験型の実習方法を取り入れて2年目の2000年度実習後のアンケートにおいて、精神看護とは、患者と深く関わること、患者をありのまま受 け入れること、自分が相手に心を開くことなど、「人と人との関わり」に関連することを精神看護学として学ぶことができていることを知り得た。また、本学の精神看護学実習で、より学びを育むためには、学生を取り巻く実習環境すべてにおいて感性豊かにのびのびと多くの経験をすることが重要で あり、精神看護学実習での経験に看護の視点で意味づけされることが何よりの活きた教材であるとの 確信を得た。
- 2005-07-30
著者
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