窒素飽和土壌における亜酸化窒素(N_2O)フラックスの測定
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概要
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大気からの窒素化合物の沈着量の増加は、生態系の窒素循環にさまざまな影響を及ぼすとして、その動向が注目されている。特に森林土壌の窒素飽和現象は、近年世界各地でその兆候が報告されるに至り、その影響が懸念されている。富山県の呉羽丘陵の渓流水はいずれも高濃度の硝酸イオンを含み、窒素飽和現象によると考えられている。この硝酸イオンは土壌の表面近くで生成されており、土壌の表面近くでは電子供与体としての有機物が豊富に存在することから、土壌内部が嫌気状態になると容易に脱窒が生じるものと考えられる。脱窒反応は、地球温暖化ガスとしての亜酸化窒素N_2Oの生成を伴うことから、本研究では窒素飽和が亜酸化窒素(N_2O)の生成を促進する可能性について調べた。その結果、窒素飽和となっている呉羽丘陵の百牧谷集水域土壌からは1.87μg-N/m_2/hourのN_2Oフラックスが測定されたのに対し、窒素飽和になっていない三の熊の集水域土壌からは0.15μg-N/m_2/hourしか発生していなかった。これらの結果から、窒素飽和はN_2Oの生成を促進する可能性が大きいことが判明した。
- 2005-03-31
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