On the Urban Landscape Transformation and residential Sector Formation through Land Use Competition and Land Price Distribution in the Matsumoto City Urban Area, Nagano Prefecture, Central Inland Japan
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概要
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「土地利用の競合や地価の分布からみた松本市の住宅地の形成・変容」松本の都市形成については, ことに近世から近代の戦前までは豊富な文献の蓄積があるが, 第二次大戦後とりわけ高度成長期の, 郊外にあたる区域の変化については一括して概観のできるような文献に乏しい。いわゆる地代の理論は極めて単純な仮定を前提に組み立てられているので, 複雑な現実の事象分析への援用には疑問が示されることが多い。しかしきわめて単純な仮定に立つとはいえ, 複雑な事象を整理したり問題を探し出すヒントになるのであれば, 理論の有効性は失われてはいないことになる。そうした例として筆者は松本市の郊外で進んできた住宅地化につき, 地価分布の面から考察を試みた。地方都市松本市にも中心業務街がある。その中心業務街の地価は松本市の後背地の経済力を反映する。全国に販売網をもつ有力な企業の顧客の購買力の組織化が地方支社・支店・営業所などの機関で, これがC. B. D. のオフィス群の中身である。いっぽう地域住民の購買力は小売商業が組織化し商店街となる。有力な商店が集積すればより広い範囲の顧客を獲得できるから商店街にもそのための工夫が凝らされる。かくてオフィス群と商店街は土地利用の競合関係に立つ。1960年代はじめの新産業都市の指定をきっかけに松本市を中心とする地方は産業基盤・生活基盤の整備を進め, それまでの郊外が市街地に組み込まれてきた。1990年代から日本経済の停滞が目立ちはじめ, それは有力企業の地方支社・支店・出張所の縮小統合再編を結果した。これで中心業務街の地価も下落した。いっぽう生活基盤の整備は住宅地の外延的増加をみちびき, 住宅地の地価は下落せず, 10万円/m^2や6万円/m^2の範囲は大きく広がった。交通混雑の緩和のため市当局は郊外を結ぶ環状線を拡充してきたが, これは深夜営業などの新業態店舗の進出を誘い, 商業的用途の地価の水準へ住宅地の地価を引き上げた。中心市街地の地価の下落は持ち家を作りたいと願うささやかな庶民の夢の実現にはいささかの助けにもならない。これは地代の理論からは, 用途が違うのだから当然のことである。なお, C. B. D. を収める松本市の中心市街地の変遷を具体的にみるため, 城下町時代や鉄道の開通後の時代の変化を追った。意外なことに, 鉄道の導いた市街地は, 現在なお生きている。駅周辺地域とこれに連なる中央西地区の再開発が, 都心機能の維持存続を物語る。ひところ新時代の到来と喧伝されたいわゆる郊外化は曲がり角に来た。整備された道路や上・下水道の維持費用は, 公共団体の財政がいっそう窮屈になるこれから先, 直接の関係者 (受益者) だけで負担することになるであろう。郊外化が庶民の持ち家実現のささやかな希望の阻止だけで終わらないよう筆者は願う。
- 2005-03-15
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