煮魚について : 各種調味料を用いての骨の軟化状態
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概要
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小イワシ(体長約17cm)を煮魚とする場合,骨まで柔かく,姿よく,味よく仕上げるには調味料を三種以上一般書の配合で合せ,その一つに必ず酸を含ませる事。加熱時間は2時間〜3時間とすることが適当で,煮液が常に材料を包んでいる状態で行うのが望ましい。又,食味試験の結果は表8に示した通り「酢+醤油+味淋」という比較的単純な方がイワシの持ち味を生かしているようで好まれた。缶詰のような場合,製造過程に前処理としてイワシを風乾させたり,海水に浸漬してのち加工処理されるので,本実験でも種々行って試みたが,乾燥や塩水,浸漬した場合,煮くずれはしないが味が悪く,煮上りの色もよくないので個々の実験結果報告ははぶく事にした。煮魚の場合当て塩,風乾,塩水浸漬等を行なわず直ぐ加熱調理を行う方がよい。ふな,こい等の場合,番茶や竹の皮を用いて甘露煮など一般では行っているが,イワシにはそれらを用いても効果なく,番茶等味を悪くするのではないかとも思われる。本実験の第一の目的であった骨は,いかなる調味料で軟かくなるかは,図1〜図3により強度の酸性又はアルカリ性のものであるが,食品として適当な物は食酢10%〜7%液で2時間以上の加熱が一番よい結果であった。重曹,塩もよい効果を示しているが,濃度が高いと味を損じ食品に適さない。以上イワシを種々加工調理し,味覚と骨の軟化を物理的に計る事により,味覚への訓練,調味の難しさ等,多々教えられた。今後の調理への参考となるところ大であった。本実験について終始御指導下さった,学園長,下田吉人先生。大阪女子大学堀越フサエ教授に厚く感謝申し上げます。
- 1960-06-01
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