ラット迷走神経節神経筋におけるソマトスタチン受容体遺伝子の発現
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概要
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電気生理学的実験法により示されている迷走神経によるソマトスタチン(SS)受容機構の存在を分子生物学的立場より明らかにするため,著者は自由摂食下ラットを用い,迷走神経節神経節(NG)におけるSS受容体(SSTR)遺伝子およびその蛋白発現をアイソフォームレベルで検証した。SSTR各アイソフォーム特異的RT-PCR法により,左右のNGにはSSTR2A, 4と,僅かではあるがSSTR1 ,2Bが発現していた。SSTR3, 5の発現は認められなかった。Northern blot法によりSSTR2転写産物がNGで検出された。さらに免疫組織化学法によりSSTR2A様免疫反応が陽性な神経細胞を確認した。異なる部位に存在するSS受容体において,感受されるSS-14とSS-28の存在比が異なることが,左右のNGにおいてSSTRアイソフォーム発現パターンに反映されているかを検証するために,半定量的PCR法を行った。異なる遺伝子に対するPCR間においても発現量に関する定量性が保たれていることを,ゲノムDNAにおけるPCR増幅効率を検定することで確認した。各アイソフォームの遺伝子発現比を見ると,左NGでのSSTR2A発現量を1.0とした場合,左NGでのSSTR4は0.13,右NGではSSTR2A 0.67, SSTR4 0.29であり,左右のNG間で有意な差は認められなかった。以上より,迷走神経によるSS受容機構の存在が分子生物学的立場からも支持された。さらに本機構に関与する主たるSSTRアイソフォームは2Aであることが明らかになった。
著者
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