健常成人および部分てんかん患者におけるfunctional MRIを用いた記憶課題遂行時の脳内賦活部位に関する研究
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概要
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目的 : f-MRIを用いて記憶課題遂行時における脳内賦活部位を同定し,左右大脳半球のどちらに優位個性があるかを調べた。さらに,その臨床応用として,てんかん患者における外科的治療の術前評価の1つとして有用であるかどうかについても調べた。対象と方法 : 対象は健常者39例(右手利き30例,左手利き9例)と,部分てんかん患者10例(側頭葉てんかん7例,前頭葉てんかん2例,未決定部分てんかん1例,右手利き9例,左手利き1例)であった。言語性記憶課題として前もって記憶した単語を頭の中で想起するtaskl (covert test)と,後で声を出さずに唇を動かすだけで言うtask2 (overt test),視覚性記憶課題として前もって記憶した図形を後で頭の中で想起するtask3を設定した。また,一部でf-MRIの脳内賦活の再現性についても実証した。結果 : 右手利きの健常者では言語性記憶課題のtask1において,左側の上前頭回や前部帯状回の内側前頭葉,中前頭回,下前頭回が主に賦活され,構音運動が加わったtask2ではそれらに加えて,左側の中心前回が主に賦活された。左手利きの健常者の言語性記憶課題における賦活部位は,右利きの健常者と同じ領野で,左側優位を示すものが多かったが,一部で右側優位もみられ,右手利きの健常者と比べて右側優位の出現が有意に高かった。視覚性記憶課題のtask3では両側後頭葉が賦活されたが,左右差は不明であった。f-MRIの脳内賦活の再現性は良好であった。右手利きの部分てんかん患者の言語性記憶課題における賦活部位は,右手利きの健常者と同様で,焦点部位が左右どちらでも左側優位であった。ただし,左手利きで左前頭葉焦点を有する1例では右側優位がみられた。結論 : 言語性記憶には上前頭回や前部帯状回の内側前頭葉,中前頭回,下前頭回が複雑に関与し,しかも利き手と関係して左右に関する優位な側性が認められることが判明した。記憶課題負荷によるf-MRIは,てんかん外科治療における術前評価の検査法として期待できる。
著者
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