土地の不法占拠者がその土地上の所有建物を第三者に譲渡した後も登記を保有し続けている場合、その建物の収去義務者は登記名義人なのかそれとも建物の譲受人なのかについては以前から争いがあったが、最高裁平成6年2月8日判決は限定的ながら初めて登記名義人とした。本稿は、この判例の理由づけ(特に登記名義人による建物収去の可能性について)を中心に考察した判例研究である。