遺産共有者の登記抹消請求(佐藤照子先生追悼号)
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概要
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最高裁平成15年7月11日第二小法廷判決は、遺産共有者の1人の持分を侵害する第三者の不実登記の抹消について、他の共有者が請求した事案である。第三者の不実登記の抹消請求に関わる従来の最高裁判例は、いずれもその請求の根拠に民法252条但書の「保存行為」を用いて認容してきたが、本判決は「保存行為」を用いず、持分権にもとづいて請求を認容した。本判決の特色は、この従来の判例と異なる不実登記抹消請求の理由づけと、不実登記によって侵害された共有持分が抹消請求者の持分でなかった事実にある。そこで本稿は、なぜそのような抹消請求の理由づけになったのか、また不実登記によって侵害された共有持分が抹消請求者の持分でなかったという事実が、本判決にどのような影響を与えたのかなどを検討することにより、本判決の射程距離と妥当性を探る。
- 埼玉短期大学の論文
- 2005-03-31